2022.10.15

副業

先日、国税庁が公表した「副業収入が300万円を超えない場合は事業所得ではなく雑所得」とするという通達の改正案に対し、多数の反対意見がパブリックコメントに寄せられ、「所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存すれば事業所得に出来る」という内容に修正しました。

事業所得と雑所得の大きな違いの一つ目は、損益通算できるか否かです。事業所得の場合、赤字になった際に他の所得と損益通算できます。
例えばサラリーマンが副業で赤字を出した場合には、その赤字を給料所得と相殺することが出来、給料所得に係る税金の還付を受けることが出来ます。

雑所得の場合には他の所得との損益通算が認められていません。

二つ目は青色申告に係る65万円控除の有無です。事業所得の場合には複式簿記で記帳している等の要件を満たせば、最大で65万円を事業所得から控除することが出来ます。雑所得の場合、この制度がありません。

今回の改正案の見直しにより、副業収入の課税関係を金額で判定するということは無くなりました。
しかし、事業所得の定義は最高裁昭和56年4月24日判例により「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」とされており、どんな副業でも事業所得に該当するわけではありません。

副業で赤字を出して税金の還付を受ける、ということを考えるより、副業でいかに稼ぐかを考えることが重要ですね。