2020.09.02

ペーパーレス社会

 コロナ禍でテレワークという言葉にもすっかり馴染んだ今日この頃、
会社に出社する機会がめっきり減ったという方も多いかと思います。
テレワークの普及に伴って、契約書や請求書の脱ハンコ化等のペーパーレス化がより進んでいくと思われます。
 
 税の世界でも2020年度の税制改正により電子帳簿保存制度の見直しが行われ、政府としてもペーパーレス社会を後押ししています。
 
今回はその電子帳簿保存制度について簡単にご説明したいと思います。

・電子帳簿保存制度とは?
電子帳簿保存制度とは従来、紙での保存を要求されていた税務関係書類を電子データで保存することを認めるというものです。

・電子保存できる書類
電子保存できる書類は「帳簿」・「決算関係書類」・「その他の証憑類」の3種類に分かれており、それぞれ保存方法が決められています。

①帳簿・・・具体例として、総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳等
→ 電子保存(※1)
②決算関係書類・・・具体例として、貸借対照表・損益計算書等
→ 電子保存(※1)
③その他の証憑類・・・具体例として、請求書・領収書等
→ スキャナ保存(※2)

(※1)「電子保存」とは作成の最初の記録段階から一貫してPCで作成した書類の保存方法
(※2)「スキャナ保存」とは紙媒体のものをスキャナ(スマートフォンやデジカメでの撮影でもOK)で読み取る保存方法

スキャナ保存による場合には、ある時点でその電子データが存在していたことを証明するために「タイムスタンプ」というものを押す必要があります。

・電子帳簿保存を行うために必要な手続き
電子帳簿保存を行う3か月前までに申請書等を所轄税務署長に提出する必要があります。


・2020年度税制改正内容
従来スキャナ保存の上、タイムスタンプを押さなければならなかった書類のうち、
「発行者側で既にタイムスタンプが押してあるもの」又は「受取側で訂正や削除を行うことができないシステムで作成されたもの」については、そのまま保存することが認められました。
これによりクレジットカードやPayPay等のキャッシュレス決済の利用明細データの保存が可能になります。


・まとめ
電子帳簿保存の利用により考えられるメリットは、書類のファイリングの手間の削除や保管スペースの削減といったことが考えらます。
逆にデメリットとしては、コストがかかる(タイムスタンプは有料)などが考えられます。
また税務調査の現場では、調査官が紙の元帳を一枚一枚めくるより、電子保存の元帳等であれば検索等が容易に行えるようになると考えられることもメリット?デメリット?ではないでしょうか。

竹内 吉隆