2021.03.01

持続化給付金

 本年の2月に、JRA(日本中央競馬会)に所属する調教助手や厩務員らの
「持続化給付金」の集団不正受給疑惑がメディアに報じられました。

 当該報道によると、指南役とみられる税理士法人の指南によるものとされていますが、
ではなぜ「不正受給」となってしまったのか。

 今回不正受給の対象となっている「持続化給付金」について、
事業主の皆様にとっては周知の給付金かと思われますが、
要件がいくつかあり、「昨年比で売上高が50%以上減少」などが挙げられます。

 しかし、当たり前と言えば当たり前なのですが、
これらの収入の減少要因は「新型コロナウィルス感染症拡大の影響」を前提としている事。
言い換えると、それ以外の要因による収入減少では申請要件を満たさないという事です。

 今回の不正受給の対象者である調教助手や厩務員の方たちは、
管理している競走馬の成績が良ければインセンティブ報酬が増加し、
悪ければ減少するような職種ですので、月毎で見ると一時的な50%の減少は容易に達成が可能となります。
 例えば、コロナウィルス感染症の拡大により、JRAの主催するレースが中止になったり、
所属する厩舎などでコロナウィルス感染者が発生したりした。
などの理由で仕事が出来なかった場合での半減であれば、受給対象になっていたと思います。
しかし、JRAのレースは全て開催されており、感染者が出た事実もないため
「新型コロナウィルス感染症拡大の影響」はないとして、今回の疑惑が報道されたようです。

 今現在も、コロナ関連の中小企業に対する、支援金や補助金の制度が続々と発表されていますが、
そのすべてが「コロナウィルスの影響を受けた」ことが前提であるため、注意が必要です。
 ともすれば、減収要件などの具体的な数字の要件にばかり目を奪われがちですが、
例えば設備投資に係る補助金を受給したあとに「コロナの影響なし」として返還を求められた場合などは
多額の返還金を背負う事になりますので、くれぐれも慎重な判断での申請が必要かと思われます。

下阪 琢真