2021.11.15

非居住者からの不動産購入と源泉徴収

(概要)
非居住者(売主)から日本国内の不動産(土地や建物)を購入した場合、その譲渡対価を支払う者(買主)は、
非居住者(売主)に対して支払う譲渡対価の10.21%を源泉徴収し、税務署に納付する必要があります。

(買主)
源泉徴収義務者である買主は「土地等の譲渡対価の支払をする者」とされている事から、
法人はもとより、個人の買主もこの対象となり、源泉徴収の必要があります。

(買主に源泉徴収義務が課されない場合)
個人が自己または親族の居住の用に供するために不動産を購入する場合で、その譲渡対価(買主からみれば購入価格)が1億円以下である場合は、
源泉徴収をする必要がありません。

(非居住者の判定)
売主が非居住者かどうかの判定は「生活の本拠」がどこなのかと言う部分がポイントとなりますが、
住民票の住所がどこにあるかは、ひとつの形式的な裏付けとなり得ます。実際の売買の際はこの判断は買主側の注意義務となります。
実際、過去の判例では、口頭で日本の居住者である旨の確認をしていたにもかかわらず、裁判で非居住者と判断されたケースもあるようです。
この場合、源泉徴収義務者はあくまで買主であるため、税金の納税義務は買主が負う事になります。

(税理士会の要望)
上記の問題が税務調査で指摘される事例が多い事を踏まえ、売主が居住者である旨を告知したにもかかわらず、
非居住者であった場合、買主に納税告知処分を行わない措置の創設を要望しているようです。