2020.08.01

付加金の請求期間の延長

税金の話から少し外れますが、「労働基準法の一部を改正する法律」が、令和2年4月1日から施行されております。
これは、今般の民法改正に併せての改正であり、その中でも、とりわけ重要な項目である「付加金の請求期間の延長」について説明いたします。

この付加金とは解雇予告手当・休業手当・割増賃金等のことであり、労働法第114条の規定に基づき、裁判所は、これらを支払わない使用者に対し、同額の付加金の支払を命じる事ができる旨を規定しています。
そして、この付加金の請求期間については今まで2年とされていましたが、今般の改正により5年(経過措置として当面3年間)に延長されました。

従来は、未払の残業代の請求がある場合には、労働者(と言っても実際には労働組合や代理人弁護士)から、遡って2年分を請求される場合が多く、ほとんどの場合は裁判になる前に、請求額に近い金額で和解金を支払って解決する事が多いようです。
しかし今後は、その請求される金額の基となる期間が3年分になる事が予想され、単純に企業が支払う金額が1.5倍程度になると予想されます。

複数人が同時に請求してきた場合には金額が多額になり、法人の経営基盤を揺るがしかねない事態になる事もあります。
今一度、未払の残業代が発生していないかの確認と、賃金台帳やタイムカード等の証拠資料の保管状況の確認が必要になってくると思われます。

下阪 琢真