扶養控除の見直し
2025/5/15令和7年度税制改正で、所得税の「扶養控除」の見直しが行われました。
国会でも長く審議され、色々な案が飛び交っており、世間も大変混乱しました。「結局どうなったの?」という意見をよく聞きますので、ここでまとめさせていただきます。
まず、扶養控除の対象となる所得要件が改正されました。
これまで、給与はいわゆる「年収103万円以下」と言われていた収入要件が、「年収123万円以下」となります。
給与には「給与所得控除」と呼ばれる控除額があり、この最低金額が「55万円」でした。さらに所得税には「基礎控除48万円」ありました。
この合計額が103万円であり、この金額以下であれば所得税がかからず、扶養に入ることが可能でした。
今回の改正で、「給与所得控除」の最低額55万円が『65万円』に、基礎控除額が48万円から『58万円』にそれぞれ10万円ずつ引き上げられることとなり、「年収123万円」という数字になりました。
さらに、「特定親族特別控除」が創設されました。
19歳以上23歳未満の一般的な大学生世代については、年収103万円を1円でもオーバーすると親御さんの扶養から外れてしまい、親御さんの所得税と住民税が大幅に増えてしまうため、年末になると働き控えをしなければならず、雇用主の悩みとなっていました。
今回の改正により、その範囲が年収123万円以下に引き上げられたことに加え、123万円を超えたとしても、扶養控除の金額が一気に0円になるのではなく、年収188万円までは控除額が段階的に減っていくという仕組みになります。
これで今までより少し扶養の範囲に余裕が出たため、労使ともに働きやすくなったのではないかと思います。
ただし、社会保険の扶養は現状も106万円や130万円の壁のままとなっています。この状態では結局は形だけの改正となってしまいますので、同時に早急な見直しが必要だと考えます。