2023.07.18

インボイス登録、やっぱりやめたいけど大丈夫?

令和5年10月1日から始まるインボイス制度。当初は令和5年3月31日が申請書の提出期限でしたが、現在9月30日が期限となっています。
免税事業者の方は、当初の期限、令和5年3月31日までにインボイス事業者の登録申請を行い、敢えて課税事業者になった方もおられると思います。

しかしながら、「よく分からないまま登録してしまったけど、本当に登録してよかったのかな?」、「色々調べてみると、やっぱり登録しない方がよかった。」という声もチラホラ聞こえてきます。
この場合、インボイス登録を取り消すことはできるのでしょうか。

答えは「YES」です。ただし、制度が始まるまでに登録を取り消す場合と、制度が始まってから取り消す場合とでは手続きが異なります。

 ≪制度が始まるまでに登録を取り消す場合≫

制度が始まる令和5年9月30日までに取り消す場合は、「登録申請書の取り下げ書」をインボイス登録センターに提出すればOKです。この書類は9月30日までに提出すればよいので、それまではいつでも取り消しが可能です。
これは、「そもそもインボイス登録事業者にならなかったことにする」というものです。
「登録申請書の取り下げ書」は特に決まったフォームはありません。
以下の7項目の記載があれば何でもOKです。
 ①登録申請書の提出年月日
 ②取り下げたい申請書の名称
 ③取り下げたい申請書の提出方法(書面or電子)
 ④申請者の氏名又は名称
 ⑤納税地
 ⑥インボイス登録番号
 ⑦取り下げたい旨

≪制度が始まってからインボイス事業者をやめる場合≫
制度が始まった令和5年10月1日以降に登録を取り消す場合は上記と異なり、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します。
ただしこの場合はいつでも好きなタイミングでインボイス事業者をやめることはできません。この場合は「インボイス登録事業者がその登録を取り消すための手続き」となります。
この届出書の提出期限は非常に複雑ですので細心の注意が必要です。
登録取消届出書の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に登録の効力が失われることになります。ただし、登録取消届出書を、翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて提出した場合は、翌々課税期間の初日に登録の効力が失われることになります。
たとえば、令和5年10月1日よりインボイス登録事業者となった個人事業主が、すぐにインボイス事業者をやめたいと思っても、最短で令和6年1月1日からとなります。
また、令和6年1月1日からやめたい場合は、登録取消届出書を令和5年12月15日までに提出しなければなりません。この日より後に出してしまうと、インボイス事業者でなくなるのが令和7年以降となってしまい、1年遅れてしまいます。
※ 上記の日数計算であれば本来12月17日になりますが、その日が日曜日のため直前の平日である15日となります。


このように、本来免税事業者である方については、インボイス事業者をやめるタイミングには注意が必要です。このような「15日前」という期限は他の届出書や申請書にはない新しい期日になりますので、私たち税理士も細心の注意を払う必要があると身が引き締まる思いです。