2022.12.15

まだまだ変わるの?インボイス制度

※令和4年12月9日執筆

佐藤会計事務所では去る11月10日、11月14日にクライアント向けのインボイスセミナーを開催いたしました。
また、商工会議所主催のインボイス制度個別相談会の相談員をさせていただき、多くの納税者の方とインボイス制度への対処法を一緒に考えてきました。

しかしここにきて、2023年の税制改正にインボイス制度の激変緩和措置が盛り込まれるようです。正直この1年間ほどで受けた相談の半分以上をやり直さないといけないくらいの変わり様です。
いい加減にしてくれと言いたくなりますが、これで少しでも小規模企業事業者が助かるのであれば幸いです。

ではどのような緩和措置が予定されているか見てみましょう。主に次の2つです。

①1万円未満の取引についてはインボイスなしでも仕入税額控除OKに
現状のインボイス制度では下記の取引以外はインボイスの保管が仕入税額控除の要件となっています。
・切符の購入(3万円未満)
・出荷者等が卸売市場において行う生鮮食品等の販売
・生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売
・自販機、自動サービス機の商品の購入(3万円未満)
・切手の購入

改正案では2023年10月から6年間、課税売上高が1億円以下の事業者については、
1万円未満の課税仕入れについてはインボイスがなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除を可能とすることで調整中のようです。
②課税売上高が1000万円以下の事業者については、納税額は売上税額の2割
インボイスの導入に伴って免税事業者から課税事業者となる事業者については、
売上税額×20%が納税額の上限となります。
ただし2023年10月から3年間の経過措置です。

これらを受けて、本当に小手先のつまらない緩和措置で心底がっかりしたというのが私の率直な感想です。どこが「激変」なんでしょうか。
9,000円の商品を10個買うときに、領収書を一枚ずつにしてもらったら、インボイスはいらなくなるのでしょうか。
簡易課税制度を使えば、卸売業、小売業の方は、今でも消費税額は売上にかかる消費税の20%以下(卸売業10%、小売業20%)です。この方達は救われませんね。
期間限定というのも気に入らないところです。

一律20%を上限にするのではなく、業種によって簡易課税制度のみなし仕入率の半分を上限にするなど、もう少しすべての小規模事業者に意味のあるものにしてはどうかなのかなと思います。

いずれにせよギリギリになってもいいので、現場の声を取り入れた改正案を導入していただきたいと思っています。