2021.02.01

令和2年分の確定申告の留意点

 新型コロナウイルスの感染が再拡大し、兵庫県にも緊急事態宣言が出されている状況ですが、
今のところ確定申告期限は3月15日となっています。
昨年のように延長される可能性もありますが、現状は3月15日までの申告を目指しましょう。
 感染拡大防止のため、また後述の青色申告のため、自宅でe-taxを利用した電子申告が推奨されています。
ご自身で電子申告を行っていただくためには、
インターネット環境が整ったパソコン、マイナンバーカード、カードを読み取るICカードリーダーが必要です。

 さて、今回は令和2年分の確定申告について、注意すべき変更点を紹介します。
 
1.青色申告特別控除額の引下げ
 令和2年より基礎控除額が38万円から48万円に引き上げられました。
これに伴い、青色申告特別控除額が65万円から55万円に引き下げられます。
ただし以下のいずれかの要件を満たせば、65万円の控除を受けることができます。

① e-taxによる電子申告(確定申告書・決算書のいずれも)を行うこと。(※1)
(※1) 税務署のパソコンでは、青色申告決算書等のデータをe-taxで送信することはできないため、
65万円の控除を受けることができませんのでご注意ください。
佐藤会計事務所では電子申告での対応が可能です。

② 仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存を行っていること。


2.所得金額調整控除
 令和2年より新たに創設された制度です。
2種類の控除がありますが、①については年末調整または確定申告で、
②については確定申告のみで適用が可能です。

①給与収入850万円超で、子ども・特別障害者を扶養している場合
 給与収入が850万円超の給与所得者で、以下のいずれかに該当する方は、
以下の算式により控除をが受けられます。
 ・本人が特別障害者
 ・年齢23歳未満の扶養親族がいる
 ・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族がいる

{給与収入金額(上限1,000万円)-850万円}× 10% = 控除額

なお、この控除は扶養控除とは異なり、
例えば夫婦両方が年収850万円を超えており、23歳未満の子どもが1人いる場合には、
双方がこの控除を受けることができます。

②給与所得と年金所得の双方を有する場合
 基礎控除の10万円引上げに伴い、
給与所得控除・年金所得控除がそれぞれ10万円引き下げられました。
両方の所得がある方は、10万円控除額が減るため、
以下の算式により所得金額調整控除を受けることができ、
実質前年までと変わらない控除額となります。

【給与所得控除後の給与等の金額(上限10万円)】+【公的年金等に係る雑所得の金額(上限10万円)】-10万円
= 控除額


3.振替納税の振替依頼書のオンライン提出
 振替納税の依頼書は、従来書面に銀行印を押して提出する必要がありましたが、
令和3年1月より個人の振替納税がe-taxにより申請できるようになりました。
振替納税は納付書で納めるのではなく、指定した本人の銀行口座より自動で引き落とされる納税方法です。
振込手数料等も必要なく、銀行に行く手間が省けるのでおススメです。
 申請の際は印鑑は必要ありませんが、e-taxの利用者識別番号と暗証番号、
インターネットバンキングのログインIDやパスワードが必要となります。

三宅 真介