2023.06.06

所在等不明共有者の不動産の持分の取得・譲渡制度の創設

令和3年4月の民法改正により新たに創設された所在等不明共有者が存在する不動産の持分の取得・譲渡制度が令和5年4月1日から施行されています。

【1】概要
不動産の共有関係の解消促進の方策のひとつとして、共有者の中に所在等不明共有者がいる場合、裁判所の決定により、所在等不明共有者の不動産の持分を、他の共有者が取得することや、第三者へ譲渡する権限を付与することが出来る制度が創設されました(民放262の2、262の3)。

【2】手続きの流れ
(1)所在不明共有者の持ち分を取得する場合
まず裁判所に申立てを行い、共有者が所在不明である証拠を提出します。その後、公告を行い、3か月の異議申し立ての期間経過後、裁判所の決定した所在不明共有者の持分に応じた金銭を裁判所に供託します。
その後、裁判が行われ、その裁判の確定により、所在不明共有者の持分の取得が可能となります。
なお、所在不明共有者については、共有持ち分の所有権に代わって、供託金の請求権を取得する事になります。

(2)所在不明共有者の持分を第三者に譲渡する場合
上記(1)と同じく、裁判所に申立てと証拠提出し、異議申し立ての期間経過を待ちます。その後、裁判所の決定した当該不動産の時価相当額をその所在不明共有者の持分で按分した金銭を裁判所に供託します。
その後、裁判が行われ、その裁判の確定により、第三者に当該不動産の全体の売却が可能となります。
なお、所在不明共有者については、共有持ち分の所有権に代わって、供託金の請求権を取得する事になります。

【3】所感
この民法改正の施行により、いままで共有者の所在不明等により、売買や利用に著しく制限のあった不動産の活用が改善される事が期待されます。