2016.10.31

モノの流れと税務・会計との関係

 税務や会計の領域において、【請求書が届いたから、仕入(原価)を計上する】【お金が振込まれたから売上として計上する】このような考え方は誤りです。税務や会計において、仕入や売上の認識の大前提は、モノの引渡しがあったかどうかであり、さらに売上に対応する原価は同時期に計上しなければなりません。これは必ずしも書類やお金の動きと一致はしません。

 税務調査の現場においても必ずと言っていいほど、この部分の確認をしてきます。例えば、20日締めの売上先について、21日~末日までに納品されているものがないかどうか。もしあれば、これらは当期の売上として認識されるので「修正して下さい」となります。 特に、建設業や製造業においては工期や納期が長期に及ぶ場合があるため上記のような典型的なパターン以外にも『仕入先に納品前の商品の代金を先払いしている』『売上先にモノの引渡が済んでないのに外注費や仕入の計上がされている』など様々な要因により、正しい計上時期からズレて売上や原価が認識されている場合があります。

 これらは、税務調査での修正事項となるのはもちろんですが、このような処理を『税金を少なくしたいから利益を減らしたい』『銀行の評価が気になるから利益を水増ししたい』と意図的に何年にも渡って繰り返してしまうと、会社の本当の利益や現状を見失ってしまう事になります。

 帳簿の操作は、自社のみの判断で出来てしまい、簡単に出来てしまうため易きに流れてしまう人が多いですが、手を抜いたり楽をした後には必ずしっぺ返しが来る事は社長の皆様が一番良く分かっているのではないでしょうか。