2016.12.01

任意調査と強制調査

 税務調査は、ほとんどの場合は任意調査が行われています。すなわち、あらかじめ税務署から関与税理士を通して、また税理士がいない場合には直接納税者へ電話連絡で調査をしたい旨の連絡が行われます。
これに対して、強制調査というものがあり、みなさまには映画のマルサの女でお馴染みの「査察」がこれにあたります。所轄裁判所の捜査令状を持った国税局査察部の人間により行われるもので、調査を拒否することは出来ません。
玄関にチェーンロックがあればカッターで切除し、引き出しや金庫も随意に空けて、また庭の土を掘り起こすこともいたします。もちろん許可なしに外出は出来ませんので、実態は身柄を拘束されることになります。

 ひるがえって任意調査では、調査の日時をあらかじめ打ち合わせた後、税務署の調査担当官が会社や自宅に臨場して質問・検査を行います。
強制調査とは、執行の強制力が大きく異なっており、勝手に調査官が金庫や引き出しを空けることは違法であって、必ず納税者の同意のもとに行っています。この同意を納税者から上手く引き出すのが調査官の腕の見せ所であり、彼ら自身の成績に直結してくるのです。

 なお彼らを統括する上司が最も嫌うのは、調査先とのトラブルです。税理士が立ち会っている場合はトラブル件数は少ないようですが、税理士のいない場合の調査では、過去に強引な手法での調査が絶えず、また納税者の税知識の欠如も加わって大きなトラブルも珍しくありませんでした。
昭和30年代や40年代の高度成長期の租税に関する裁判例は、この調査手続きに関するものが多く、税理士にとっても勉強になるケースがあります。